この記事は下記より転載しています。
家族にとって、はじめての補聴器。
ご家族は相当大きな声で話しかけないと伝わらないとおっしゃります。
確かにこれは、なかなか大変そうです。
目の前で大声で話しかけて8割弱の聞き取りの正しさを想像してください。
普通の声の大きさでは文字通り話半分で、適当に相槌を打っているかもしれません。
ご家族から補聴器をつけてほしい方への
補聴器フィッティングは機械的な調整だけにとどまりません。
このような場合、補聴器フィッティング3本のコツを意識しながら補聴相談に対応しています。
物理的なフィッティング
まずは、物理的なフィッティング。
手先の器用さや認知力に合わせて取り扱い可能なものを選択します。
皮膚が柔らかい人の場合はイヤモールドをつけることが多いです。
正しく装着しなければ正しく聞こえないのは当然のことでしょう。
機種選定は本人の希望と現実的な問題の折り合いが必要な場合もありますが、
個人的に技能者のレベルが出やすいポイントだと思います。
技量が高ければ問題を解決しつつ希望に添いやすくなります。
音響的なフィッティング
次に音響的なフィッティングです。
こちらが多くの方が想像する補聴器の調整の部分かと思います。
上記のグラフから20dBHLくらい改善できれば会話が改善しそうですね。
聴力に合わせて周波数毎に音の増幅量を調整します。
補聴器と集音器との違いが大きく出るところです。
今日のところは仮合わせですが、効果を測定してみます。
S字:補聴器なし。赤A字:右耳の補聴聴力、青A字:左耳の補聴聴力
いい感じです。
後期高齢者になると本人がというより、ご家族が補聴器を使ってほしい場合も多いです。
大抵は友達から補聴器は買ったはいいけど使ってない、
雑音ばかりで役に立たない話を聞いていて前向きではありません。
だからこそ装着した時の第一印象が大事。
自分の声も大きすぎず小さすぎず、家族の声が聞き取りやすくなるように。
ご家族にも聴こえてる感動を味わってもらえるようにします。
家族が喜ぶと自分も嬉しくなり装用意欲が高まります。
生活的なフィッティング
最後に生活的なフィッティング。
これはフィッティングというよりカウンセリングに近いかもしれません。
後期高齢者。補聴器で声が聞こえるようになっても。若い人たちと同じようにはいきません。
ゆっくり話して差し上げてください。話を理解する前に次の言葉が入ってくると聞き取れません。
また、一つずつ一人ずつ。同時に二つのことをするのが難しくなってきます。
歩きながら話す、食事しながら会話する、テレビを見ながら話を聞くなどが代表的な困難さです。
と、いうような事を一つずつご案内していくと、家庭で起きていた難聴の問題の原因が腑に落ちます。
より一層、補聴に対してモチベーションがあがります。
ここまできたら、あとは時間をかけて補聴効果を上げていくだけです。
一緒によりよいクオリティ・オブ・ライフ。生活の質の改善を探っていきましょう。
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